ITCC2018

International Tree Climbing Championship with Arbor Fair and Expo 2018



 

今回のITCC2018は、アメリカ合衆国のオハイオ州コロンバスにあるフランクリンパーク(Franklin Park)内で開催されました。
<※オハイオ州コロンバスはこのような所 https://www.gousa.jp/destination/columbus-ohio >
 

 大きな樹木たちが伸び伸びと育っていて、だからと言って放置されている訳でもなく、一定以上の枯枝や危険枝はまず見当たらない。樹木たちの生長を尊重しながらも人々の安全のこともちゃんと考えている。
まさに、「樹木と人との理想的な共存のかたち」が、そこにはありました。

そんな素晴らしい公園の一角で、「ITCC2018(with Arbor Fair and Expo)」が開催され、選手やご家族、応援&サポートの方々、スタッフ等関係者、一般来園者など、実にたくさんの方々で、大いに盛り上がりました!!
日本からは、私(関野 暁:神奈川県)が、僭越ながら日本代表選手として本大会に臨んでまいりました!!
 

8月01日
いよいよこの日を迎えました!!
ツリークライミングR発祥の地アメリカへいざ出発!!

大きな不安を抱えながら何とかコロンバス空港に到着した
私を、香港のスーパースター“サミュエル”が迎えに来てく       
れました!! サミュエルありがと~!!
そして選手達が集う場所へ連れて行ってもらって、そこで
十数名の方々と少しお話しでき、英語はほぼ出来ないながら
も少しだけコミュニケーションをとることが出来ました!!

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8月02日
「ギアインスペクション&ウォークスルー」という予定でしたが、「ギア
インスペクション」がナシになり、「ウォークスルー&ギアインスペクシ
ョン会議?」ということで、実際にギアを持ち込むのは翌日、という流れ
になりました。                          
選手たちには「選手Tシャツ&その他グッズ(右写真)」が配られました!!
かっこい~!!
でもこれを着るからにはみっともないパフォーマンスは出来ない!!
プレッシャーも同時に襲い掛かります!!(笑)

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8月03日
「予選初日!!」

前日実施しなかった「ギアインスペクション」からのスタートです!!

「選手の数だけプランがある」と言っても過言ではない
ほど、使用するギアは皆さんが手に出来るものと全く同
じですが、その組み合わせは実に多彩!!
今回の選手数は、男子49名、女子26名、計75名!!
その全てのギアチェックを短い時間で確実に進めていく
スタッフの方々もかなりのプロフェッショナルです!!

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そして私の番が回ってきました!!
事前にチェックしては来たものの,この瞬間はスリリング!!
「あれ没収されたらど~しよ~」的なことが、頭の中で
渦巻きます!!

そんな心配もありましたが、ギアは全てクリアして、何とか先に進めます!!
当たり前ですが、これをクリア出来ないと先に進めません!! 大事なところです!!
ギアチェックのスタッフたちは、「クリアorノットクリア」だけを事務的に伝えるだけでなく、「このギアにはこのようなリスクがあるから、ここをいつもチェックしてください」ですとか、「そのように使うことは出来ないけど、このように使うことは構いませんよ」のようなアドバイスもしてくれて、とても勉強になる時間でもあります。

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 さあ、いよいよ予選第1種目め!!「スピードクライム」!!

ビレイこそしっかりされておりますが、基本的には完全に「木登り」です!!

「たかが木登り!! されど木登り!!」やはりこのような種目でもツリークライミング®のセンスが如実に表れます!!
樹上のクライミング経験を深く積んだクライマーたちが、まるで樹上で生活する動物のようにヒョイヒョイと駆け登っていきます!!
手足の長い人が有利と思いきや、そうでもない人でもスムーズに登っていく様を見ると、「奥が深い」と心底思います。

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そして2種目め!!「スローライン!!」

日々ツリークライミング®の業務と向き合う皆様はよくご存知だと思いますが、この技術は実に重要です!! これの良し悪しでその日の仕事の進みが大きく左右する日も少なくありません!!

さすがにどの股も簡単な所には設定されておりません!!
しかし、そんなことは関係ないかのように、何事もないように各国の代表選手たちはインストールしていきます!!

「いつもは入るんだけどギャラリーがたくさんいて~」などと言い訳している選手は皆無!! むしろそのような状況であるからこそ実力を出
せると言わんばかりです!!

 

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写真は台湾のJun選手!!
7~8人で1グループとして動いていくのですが、彼とは同じグループで、色々話が出来ました!!

私の前の前の方くらいから雲行きが怪しくなり、ポツンポツンと来たかな?と思ったらすぐに、ダーッと大雨が!!
長い雨ではありませんでしたが、結局その日は中止となり、1種目しか出来ませんでした。

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8月04日
まずは前日中止になった「スローライン」から始まりました!!

高い股を狙いましたが上手くいかず、低いに股にラインをインスト―ルした後、ロープに替えて、次は逆サイドの股にラインを入れてロープにしようとしていたところでタイムアップ!!

 こちらの種目は終了後にスコアラーと確認作業があるのですが、2つめに通したアンカーは下に枝が内包しているということでポイントになりませんでした!!
きっと焦っていたんでしょうね。でもそれも含めての実力。認めざるを得ません。
 

3種目めは「ワーククライム」!!

ご存知の通り、「花形の種目」ですね。
ハンドソー、ポールソー、リムトス、リムウォーク、ランディング、5つのステーションがあります。
4つのステーションをクリアしてラストのランディングに向かう途中でタイムアップ!! まだまだだなと痛感しました。
<※右写真は他の選手のリムウォークで、私ではありません。>

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4種目めは「アセントイベント」!!
 

この種目は、何が何だか実は全く分かっておりませんでしたが、サミュエルが来日した際に色々教わってようやく理解しました。
セッティングとチェンジオーバーは上手くいき、アセントも大きな問題はありませんでしたが、無駄が多く効率が悪いアセントを、根本的に直さなければと深く反省した次第です。

 右写真は私。アセント前の各ギアのアジャストの時間。
各選手たちは様々なアセント&ディセント手段を考案し、それを実践しました。

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5種目めは「エアリアルレスキュー」!!
 

「気温は高めの日中に、樹上で動かなくなったクライマーを発見!!
ナチュラル・リディレクト(SRT)していたらその枝が折れて大きくスイン
グして強く体をぶつけて意識を失った要救助者!! 返事もできない!! 大き
な枝にまたがって止まっている!! 」という設定。

私はアクセスラインにクライミングシステムを設置してクライミングア
ップ、要救助者をリフトアップして降ろすシステムを取り付けましたが、
実際に地面に降ろすには至らずタイムアップ!!

 と、いうことで、やってきたことがまるで出せなかった訳ではありませんが、実力及ばず!! という結果に至りました。

 無念ではありましたが、翌日はあの「マスターズ(本選)」!!
気持ちを切り替えて、スーパースターたちのパフォーマンスや精神、向き合う姿勢等をしっかり胸に焼き付けてこようと思いました!!

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8月05日
いよいよ「マスターズ」が始まりました!!
 
 

出場選手たちは、事前に綿密で抜かりの無いプラニングと、それに伴うとんでもない技術を引っさげて、そのフィールドにその足を踏み入れます!!
 

 どの選手もスローラインは1~2回程度しか投げず、想定内のアンカーにロープをスムーズにインストールしていきます!!
 

 各選手たちの樹上での動きは、とてもスムーズで無駄がなく、ビッグスイングを繰返しているはずなのに何故か安心して見ていられる、バランスを崩すわけでもなく、ポジショニングはいついかなる場面を切り取ってもパーフェクト!!
逆に言えば、そのようなパフォーマンスでなければ絶対に攻略できない超高難度の設定と言っても過言ではないでしょう!!

2018-11

 右写真は、今回3連覇を遂げた「James Kilpatrick」!!
 
彼のパフォーマンスを見て、私の中で、まず一番に思い浮かんだ言葉は「美しい!!」です。
 

 何だかんだと、挙げればキリがないほどの、群を抜いて素晴らしい技術を彼は持っているのですが、とにかく、何をするにもその動作一つひとつが「美しい」のです!!
 

 でも、見ればよく分かることなのですが、彼は特別なことをしているというよりは、「誰よりも”基本”を大事にしながら、それを基に何重にも何重にも努力を積み重ねて、今の”James Kilpatrick”を築き上げている」のです。
少なくとも私はそんな印象を受けました!!

2018-12

ITCCの目的は、以下5項目
 

1. Safety
2. Education
3. Network
4. Public Exposure for Profession
5. Competition
 

その順番は、「何がより大事であるか」を示すものでもあります。

「時間を競うこと」や「ダイナミックな動き」が必要不可欠な「競技」という世界。
しかし、その最も重要な目的は「Safety(安全・安全性)」。
その、一見矛盾したような、私の頭の中で浮遊する”もの”や”言葉”たちが、このITCCという世界大会によって見事に融合されていき、心地よい解釈へと導かれていきます。
 

そして、競技が終わると、「Rake Master Challenge」
という珍競技!!(笑)
 

 丸太転がし → 枝投げ → ペットボトルをロープに結びつける → 大きな枝葉を持ってダッシュ → 熊手で小枝を掻き集めてダッシュ → 次のプレイヤーにバトンタッチ、のようなことで、チームに分かれて競い合います!!

2018-13

 笑いも生まれ、和やかな空気になります。この大会はそういう所もすごく大切にしてくれています。


この珍競技に限らず、終始「ひとの優しさや温かさ」が心にし
みる、そんな素敵な数日間でした。

 

 今回私は、挙げればキリがないほど多くの方々にサポートしていただき、この大会に臨むことができました!! 本当に本当にありがとうございました!! 深く感謝しております!!

2018-14

 

「自分の想像をはるかに超えた技術」を目の当たりにし、肌で感じてこれたこと、これは他の何にも変えられない貴重な経験ですので、今後それを無駄にしないよう精進してまいりたいと強く思いました。

 

 会員の皆様!! この長文にお付き合いいただき誠にありがとうございます!!

そして、「自分も世界に挑戦してみたい!!」「自分で挑戦する気はないけど、次回は何らかの形(ボランティアスタッフ、サポート、応援など)で同行して世界を感じてきたい!!」などなど、自分の心の中に「世界」という言葉が少しでも芽生え始めたら、それは「今がそのとき!!」ということです!!
その経験は必ずやあなたの「これから」にとって、重要な糧となることでしょう!!

 
Let’s challenge!!
 

【記述者:関 野 暁(JAA)】







 




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