ITCC2019レポート(遠藤選手)

 

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今回のITCC2019は、アメリカ合衆国のテネシー州ノックスビルという都市にあるレイクショアパーク(Lakeshore Park)内で開催されました。

<テネシー州ノックスビルはこのような所→ https://www.gousa.jp/destination/knoxville >

ノックスビルの道路脇の植生を観ていると、アイビーやヘビイチゴ、クズ(これは日本からの外来種ですね)等々日本の関東と似ているところがありましたが、建造物や道路などとても広々としており、時間の流れがゆったりしていて人々も優しい素敵なところでした。

 

会場となりました公園内の樹木は、伸び伸びと育てるよう十分な空間があり、根元周りは根の保護の為か広くマルチングされています。街路や建物周辺の植栽されているところなどは夕方になると潅水装置が作動されており、生きものを大切にしていることが感じられました。
 

今回JAAからは、JTCCで3度目もChampionになられた長野県の松岡秀治さんと、神奈川県の遠藤ゆうがITCCに参加してまいりました。

8月6日 
出発前日までドタバタしましたが、何とか無事日本を出国しアメリカへ!初めてのことばかりですべてが不安…まずはノックスビルに到着できるかも心配でした。

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  ノックスビルの町(住宅)の様子

8月7日 
不安を抱えたままノックスビルの空港に到着すると、なんと先に到着していた松岡さんが迎えに来てくださいました?無事合流できてどれ程安心したことか…松岡さん、本当に本当にありがとうございました!

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  Lakeshore Park

8月8日 

大会会場にてチェックインを行います。
大会スケジュールやグループ分け名簿(今回は10グループ約80名)、選手用Tシャツやその他バックやグッツを受け取ります。世界各地区から集まった選手たちの様子をみているとまた緊張感が高まります。英語ができない不安も高まっていきます…。


大会直前ATIの特別講習でお会いした講師のJeffrey Inman選手(U.S)やTWTCC女性Championの許荏涵選手とも再会!


ジャッジから大会の全体説明があり、その後ウォークスルーに入ります。各種目場所に移動しながらジャッジの説明とルール確認、質疑応答をしていきます。
 
  

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8月9日 
朝よりギアインスペクションです。
 
大会中に使用するロープやサドル(ハーネス)などクライミングギア全てが安全基準に達しているかチェックします。テーブルが並べていかれて、ジャッジの方々が2~3人で対応していきます。使用するギアについては、準備段階でとても時間をかけて用意してきましたので緊張の瞬間です…。
 
とても細かく見て触ってチェックしながらも、ギア同士の相性など色々教えていただけて大変勉強になりました。そしてそんな中、「日本の方ですか?日本語わかるので困ったことあったら声かけてください!」と声をかけてくれたスタッフの方がいました?彼はテネシー在住のJohn!とても素敵な方で、彼には最後までお世話になり、感謝の気持ちでいっぱいです。
 
因みにですが…、ギアチェックが終わると、スピードクライムで使うシステムのチェックをします。今回より自分でバックアップもセットする場合、カラビナとカラビナまでの長さが20㎝以下になったそうです。
 

 

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午後からはいよいよ予選競技スタートです!
 
松岡さんと私のグループの1種目目はアッセントイベント!メインのロープが1本用意されており、①自分のシステムを組んで登る体勢になるまで
②23mの高さまで登りベルを鳴らすまで
③ベルを鳴らしてから降りる体勢に移るまで
の3構成のタイムをそれぞれ計ります。

自分でもバックアップシステムを組めばボーナスポイントがあります。しかし、バックアップをつける際のルールの細かい部分を理解出来ておらず、一度止められてしまいました…。なぜ止められたのかもわからずオロオロ…でも、ジャッジの方々がその場で説明して下さり再開!慣れないフルハーネスで23mを一気に登るのは心臓が弾けそうでしたが、応援してくださる声があったことで、何とか何とかベルまでたどり着けました。
 
 

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次の種目はエアリアルレスキューイベントです。

樹上にいるビクティム(要救助者)を救助・地上に安全に降ろすまでを5分で行わなければなりません。
今回の設定は…一人で作業、チェンソーで顔を切ってしまい意識無し。
SRSロープレンチ使用、ボトムアンカーを設置しているが彼のロープは短くて使えない。
といった状況です。選手それぞれにプランニングがあり、とても勉強になる競技です。

私は地上インスペクション、システムの用意をしてさあ登るぞ!と登り始めた所で使用したアッセンダーの紐がブチン!と切れOMG…その後タイムオーバー。ギアメンテナンスの甘さを痛感しました。

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8月10日 
予選2日目の最初はスピードクライムイベント。まさに木登りです!

順番を待っている間、ひょいひょいと上がっていく男性たちを観ていて速いな~思っていると、先に登った同グループの女性が、「OK聞いて!すごくハードだよ!」と息も絶え絶えに教えてくれて「やっぱり!」と笑ってしまいました。

背が低い人には不利ですが、失格にならずに(決まったルートがあり、つかんではいけない場所もあるので)上のベルまで何とかたどり着けましたのも、松岡さんや同グループの方々がずっと応援の声をかけ続けてくださったおかげです。ありがとうございました!

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次はスローラインイベントです。
スローラインのテクニックは仕事をする上で欠かせませんが、6分という時間の中で、設定されたアンカーポイントを状況に応じどのように狙っていくか…冷静さも必要です。

今回の木は材が柔らかく(脆く)、引っかかると小枝が折れて減点や失格(DQ)になる選手もいました。小枝に気を遣い過ぎてしまい、かわしているうちにタイムオーバー…

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いよいよ最後の種目、ワーククライムイベント!

会議が多く、スケジュールがお忙しい中ジョンさんも応援に来てくださいました!
マスターツリー(決勝が行われる木)ではないかと思うほど大きい木で、各ステーションすべてが
「これはギリギリ45°もしくは45°を超えている…」といった設定でした。

年々難易度は上がっているそうです。安全性、バランス感覚、スピード…様々な要素が必要とされます。150㎝台身長の選手ですと、各ステーションにおいて両手持ちハンドソーでベルを鳴らすには他の選手よりも一歩近づかなければなりません。

実際の仕事でしたらスリングで足場を作ったりしてポジショニングを取る方法は色々ありますが、もちろんそんな時間はありません!

3つのステーションは特に位置が高く、下枝もないのでかなり怖かったです(笑)。何人かの選手のワーククライムを観ることができましたが、タイムに関わらず、危ないと思うような動きをする人はいません。さすが世界各国・地域の代表です。その美しさと安定感に感動しました。


ちなみに今大会から、ハンドソーやポールソーに触る前に必ず「stand clear!」か「handsaw!」
「polesaw!」など必ずコールすることになりました。

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夕方からは結果発表!今回は上位男性6名、女性3名が決勝に進みました!

でもその発表の前にRake Master’s Challengeというチーム対抗のゲームがあります。5人以上で一組なのでジョンさんと松岡さん、香港のJason Ma選手や一緒に来ていた方々とチームアジアを結成しました!
 
PPEを身に着け→丸太を転がし→枝数本を運び→アメリカサイズのBig熊手で落ち葉を移動させ→枝を的の中にスロー!→垂れ下がったロープにペットボトルをクローブヒッチで結び次の人にタッチ!を2往復。

仕事をする上ではグラウンドワーカーも大切、チームワークが大切!ということを伝えるものでもあるとジョンさんに教えていただきました。ジャッジの方々も参加!6チーム中なんと2位になりました!

会場内では、初日から体験会も開催していました。

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8月11日 
マスターズチャレンジ(決勝)

ずっと観たかったITCCのマスターズ。マスターツリーは、大きくて本当に立派です。そんなマスターツリーに選手の方々はそれぞれのプランニングがあり、それをすべて目にすることが出来るというのは本当に幸せなことだと思いました。

状況に応じたプランニング、移動、ポジショニング、ギアの使い方…。地域が一緒だと雰囲気が似ていると感じる場面もありましたが、ITCCは世界中から集まっていますので本当に幅広い考え方を知ることができます。これほどまでに大きな木でも、安全に、滑らかに美しく動いて作業ができる、という世界のレベルの高さに圧倒され、感動しました。

また、観ている方々の声のかけ方、応援の仕方もとても温かく背中を押してくれます。すべてに感動です。

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マスターズが終わった後はExpo会場へ移動し、マスターズチャレンジの結果発表!
 

次の日は、様々なメーカーのブースを見たり、日本でいう樹木医のような方々の研究などを見たり、ジャッジと選手のミーティングやWomen in Arboriculture Networking Eventというアーボリカルチャーに関わる女性のレセプションにもジョンさんのおかげで参加することができました。
 

ジャッジと選手のミーティングは、本当に素晴らしい機会だと思いました。と言いますのも、始めは会話が速すぎて全然理解出来ませんでしたが、途中からジョンさんが来てくださって訳していただくとともに、意味なども色々教えていただきましたことでよくわかりました。
 
種目別に、まずヘッドジャッジから今回の感想や反省点を話したりします。そこから選手や他のジャッジ、スタッフがまた意見を出しあっていき、今度はこういう風にしていけないかなどすべての競技、ギアに関して時間を設けていきます。
 
こういうルールだと危険ではないか?という意見も出てきます。批判も多くありましたが、しっかり受け止めます。このようにしてITCCのルールはよりBestな方へ変化してきたのかなと感じました。このようなミーティングはJTCCでも出来たら良いな…と思います。
 
仕事でもそうですが、より良くしていくためには振り返り、改善点を見つけていくことが大切だと、改めて感じる機会でした。
ミーティングの内容は、JTCCにも関わることがあるかも知れませんので、どこかの機会にでも関係しているみなさまにはお伝えしたいと思っております。

 

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アメリカに到着してからすべてが勉強になることばかりでした。不安な時はジョンさんと松岡さんにいつも助けていただき、出会った方々はみなさん温かく(いろんな方に出会え、友達になれる貴重な機会でもあるITCC)、素晴らしいジャッジ、ボランティアスタッフ、スポンサー、大会中の料理を用意してくださった方、選手みんなに熱い応援をくださる会場に来ている方々、そして、ISAの皆様に深く感謝申し上げます。
 
何より、ジョンさん、JAAの皆様、この上ない貴重な貴重な機会をいただき、心より感謝申し上げます。
ありがとうございました!

  【記述者:遠藤ゆう(JAA)】







 




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